小繰り返し地震から推定された関東地方下へのくさび形のフィリピン海プレートの沈み込み
Uchida, N., T. Matsuzawa, J. Nakajima, and A. Hasegawa, Subduction of a wedge-shaped Philippine Sea plate beneath Kanto, central Japan, estimated from converted waves and small repeating earthquakes, J. Geophys. Res., 115(B07309), doi:10.1029/2009JB006962, 2010
関東下のフィリピン海プレート(PHS)下面で発生する小繰り返し地震の波形中に上面での変換波を見出し, PHSの上面深度および厚さを推定した.変換波の走時とPHS上の地震位置から,PHSは北東に向い薄くなる楔形をし, 東部で沈み込み角度がゆるく,北東縁付近で上向きに曲がっていると推定された. この形状は,PHSが沈み込む前の形状を維持しつつ太平洋プレートと相互作用することにより形成されたと考えられる.

左図/関東地方下での3つのプレートの重なりの模式図.PHS/PAC境界の地震(白星)からの地震波がPHS上部境界(黒丸)で変換したものを用いた. 右図/フィリピン海プレートの厚さの分布(カラー).
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[論文PDF],[図のpdf],[フィリピン海プレートコンター]
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三陸沖のマントルウェツジに存在する"supraslab"地震
Uchida, N., S. H. Kirby, T. Okada, R. Hino, and A. Hasegawa, Supraslab earthquake clusters above the subduction plate boundary offshore Sanriku, NE Japan: Seismogenesis in a graveyard of detached seamounts?, J. Geophys. Res., 115, doi:10.1029/2009JB006797, 2010
東北日本三陸沿岸の深さ25-50kmに,沈み込む太平洋スラブとほぼ平行に分布する特異な地震活動を見出した. 変換波から前弧モホ面,再決定した小繰り返し地震からプレート境界の位置を推定した. その結果この地震活動は上盤プレートのマントルウェッジで発生しており, 沈み込むスラブから分離した物質の中で発生している可能性が示唆された. これが正しければ,東北日本前弧域での底づけ作用を示す最初の地震学的証拠となる.

上図/図中右下の測線に沿った断面を重ね合わせた図.緑色はプレート境界地震,赤色はsupraslab地震. 下図/supraslab地震発生域の模式図.海山がもとのプレートからはがれ,底づけされ,その中で地震が発生する.
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