2007年8月の相似地震活動

2007年8月1日~8月31日に発生した相似地震について, 図1左では,その地震が所属するグループの位置(橙色丸), 図1右では,そのグループの地震の積算すべり量(プレート境界でのすべりの時間発展)を示した.今月は14グループで相似地震が新たに抽出された.深さ70km以浅、M4以上の地震活動(星印)をみると, 房総半島沖でいくつかの地震が発生している(最大M5.3).ここでは,8月13日から群発的な地震活動があり,8/15にはM3.1の相似地震(No.1136)がフィリピン海プレート上面と思われる場所で発生した.この領域は,5-7年おきに群発地震とスロースリップが観測されている場所であり,今回も防災科学技術研究所や国土地理院により,スロースリップが発生していたことが報告されている.プレート境界のスロースリップにより,今回見つかった相似地震も誘発されたのではないかと考えられる.

図1

(左)2007年8月に発生した相似地震の位置(橙色丸), M4以上で70km以浅の地震の位置(黄色星)及びこの期間には地震を起こさなかった相似地震発生位置(青白抜き丸).解析領域は太線で囲んだ領域で,解析期間は1984年(41.5°N以北および36.5°N以南は1992年)~2007年8月31日.
(右)2007年8月に地震が発生した相似地震グループの積算すべり.方法は,内田・他(2004)と同様.
相似地震の抽出には,東北大学,北海道大学,弘前大学,東京大学の観測点の波形を用いた.震源は気象庁による.

(2007.9.14掲載 文責:内田)