2007年2月の相似地震活動

2007年2月1日~2月28日に発生した相似地震について, 図1左では,その地震が所属するグループの位置(橙色丸), 図1右では,そのグループの地震の積算すべり量(プレート境界でのすべりの時間発展)を示した.今月は15グループで相似地震が新たに抽出された.深さ70km以浅の地震活動(星印)をみると, 2/17に襟裳岬の沖でM6.2の地震が見られる.この地震はメカニズム解からプレート境界地震であると考えられる.その周辺では, 3つの相似地震グループ(No.159,160,162)で活動が見られるが、グループ159と162は,この地震の前の2/10と2/7, グループ160はこの地震の後の2/18に発生している.岩手県釜石沖では,きわめて発生間隔(5年前後)と規模(M4.9前後)がそろった繰り返し地震が知られているが,先月に引き続き,今月もこの繰り返し地震に隣接した場所で相似地震(グループ536)が抽出された.この地震はM4.9前後の繰り返し地震のすべり域の浅部に隣接した場所で起こったと考えられる(別ページ参照).

図1

(左)2007年2月に発生した相似地震の位置(橙色丸), M4以上で70km以浅の地震の位置(黄色星)及びこの期間には地震を起こさなかった相似地震発生位置(青白抜き丸).解析期間は1984年(41.5°N以北は1992年)~2007年2月28日.
(右)2007年2月に地震が発生した相似地震グループの積算すべり.方法は,内田・他(2004)と同様.
相似地震の抽出には,東北大学,北海道大学,弘前大学,東京大学の観測点の波形を用いた.震源は気象庁による.

(2007.3.7 文責:内田)