2007年1月の相似地震活動

2007年1月1日~1月31日に発生した相似地震について, 図1左では,その地震が所属するグループの位置(橙色丸), 図1右では,そのグループの地震の積算すべり量(プレート境界でのすべりの時間発展)を示した.今月は10グループで相似地震が新たに抽出された.岩手県釜石沖では,きわめて発生間隔(5年前後)と規模(M4.9前後)がそろった繰り返し地震が知られている. グループ537はこのM4.9前後の地震のすべり域の深部に隣接した場所で起こったと考えられる. グループ161では,2003年十勝沖地震(M8,0)後に積算すべりが増加(すべりが加速)し,それがしだいにおさまってきている様子が見える. なお,1987年に積算すべりの急激な増加が見えるグループ804の近傍では1987-1988年にかけて群発地震活動があった.

図1

(左)2007年1月に発生した相似地震の位置(橙色丸), M4以上で70km以浅の地震の位置(黄色星)及びこの期間には地震を起こさなかった相似地震発生位置(青白抜き丸).解析期間は1984年(41.5°N以北は1992年)~2007年1月31日.
(右)2007年1月に地震が発生した相似地震グループの積算すべり.方法は,内田・他(2004)と同様.
相似地震の抽出には,東北大学,北海道大学,弘前大学,東京大学の観測点の波形を用いた.震源は気象庁による.

(2007.2.16 文責:内田)