2024年 プレスリリース

令和6年能登半島地震に伴う学術研究船「白鳳丸」
緊急調査航海(第一次、第二次)の結果速報[2024/5/24]

 令和6年1月から2月にかけて実施した学術研究船「白鳳丸」による2回の緊急調査航海で設置・回収した海底地震計26台の観測データにより、海域周辺で発生した約600回の地震(マグニチュード2以上)について解析を進めました。

能登半島北東沖の地震活動については、海域に観測点が存在しないため詳細な震源分布などが不明でしたが、これまでの解析により、とくに活発な地震活動の深さ分布の詳細が明らかになりました。また、震源メカニズムについては、令和6年1月1日の本震と同様に北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型メカニズムによる地震に加え、横ずれ型のメカニズムで発生した地震も多く発生していることも分かってきました。

解析結果は、地震調査研究推進本部地震調査委員会や石川県防災会議震災対策部会等で報告していることに加え、日本地球惑星科学連合2024年大会(令和6年5月26日~31日)でも発表される予定です。

詳細(プレスリリース本文)PDF

地球のマントル中部に地震波異方性を発見
―地震と火山噴火の根本原因の理解に重要な手がかり―[2024/3/13]

 地球内部の岩石には、地震波の伝播する方向によって速度が異なる「地震波速度異方性」という物理的な性質があります。この性質は地球内部での岩石の変形やプレート内の応力場、およびマントル対流のパターンなどを反映していると考えられます。

 東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センターの趙大鵬教授と中国科学院海洋研究所の範建轲(Jianke Fan)教授、李翠琳(Cuilin Li)准教授と董冬冬(Dongdong Dong)教授、及び中国科学院地質と地球物理研究所の劉麗軍(Lijun Liu)教授は、趙教授が開発した最新の地震波トモグラフィー法(注4)を用い、フィリピン海下深さ1600キロメートルまでの3次元地震波速度異方性構造を明らかにしました。これにより、マントルの中部と下部に現在のプレート沈み込みと無関係の異方性構造を発見し、約5千万年前の太平洋下部マントルフローの残り物であることがわかりました。本研究成果は、地震と火山噴火の根本原因であるマントル対流と地球深部ダイナミクスを理解する重要な手がかりになります。

 本成果は、科学誌Nature Geoscienceに3月12日19時(日本時間)に論文としてオンライン掲載されました。

令和6年能登半島地震に伴う学術研究船「白鳳丸」緊急調査航海の実施について[2024/1/12]

 海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」という。)、東京大学地震研究所、北海道大学大学院理学研究院、東北大学大学院理学研究科、千葉大学大学院理学研究院、東京海洋大学海洋資源エネルギー学部門、東海大学海洋学部、京都大学防災研究所、兵庫県立大学大学院理学研究科、鹿児島大学大学院理工学研究科からなる研究チームは、令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震を踏まえ、JAMSTECが所有する学術研究船「白鳳丸」(写真1)を用いて、活発な地震活動が継続している震源域周辺海域で海底地形調査などの航走観測並びに海底地震計(OBS、※1)30台程度及び海底電位磁力計(OBEM、※2)2台程度の観測機器の設置(図1)を主とする緊急調査航海を下記の日程・海域で実施いたします。

本航海で設置する観測機器は、一部を除き約1ヶ月後に回収し、得られるデータを詳細に解析することで、今回の地震を起こした地震断層の実態や地震・津波の発生メカニズムを明らかにするとともに、地震活動の推移の把握等を目指します。