2020年 プレスリリース

無人機を用いた海底地殻変動の多点長期観測に成功 -高時間分解能での地震発生帯の現状把握に大きな進展- [2020/9/30]

 国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是、以下「JAMSTEC」という。)海域地震火山部門の飯沼卓史主任研究員らは、東北大学大学院理学研究科の日野亮太教授及び東北大学災害科学国際研究所の木戸元之教授らとともにGNSS-音響測距結合方式の海底地殻変動観測を無人海上観測機「ウェーブグライダー」によって実施するシステムを開発し、複数の観測点に沿って無人機を巡回させることにより、多くの地点での観測データを1ヶ月あまりの間に自動で取得することに成功しました。

従来、有人船舶もしくは係留式のブイを用いることが不可欠だったGNSS-A観測では、その高い運用コストが観測体制の充実における課題となってきていましたが、無人機を用いた観測の実現により、1観測あたりのコストを1/10以下にまで削減が可能です。

今後、無人機を活用することで海底地殻変動観測の頻度を高めることができれば、海溝型大地震の発生を繰り返す海域下での海陸プレート境界で蓄積された歪を解消する過程の実態が詳しく明らかとなり、巨大地震の発生可能性評価の信頼度を大幅に向上させることができると期待できます。

本研究の一部は、JSPS科研費JP19H05596の助成を受けて実施されたものです。

東北地方太平洋沖地震の震源構造を解明 -プレート境界の岩石硬さの違いが地震発生をコントロール- [2020/3/6]

 東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センターの趙大鵬教授とYuanyuan Hua氏(中国地質大学 博士学生)、豊国源知助教(同センター)、および浙江大学のYixian Xu教授は、東北地方太平洋沖地震の震源域の3次元構造を調査し、この大地震の破壊は、深い側の硬い岩石と浅い側の柔らかい岩石との構造境界から開始したことを明らかにしました。浅い側の比較的に柔らかい岩石は太平洋プレートが沈み込む日本海溝にまで続いており、このような柔らかい岩石では破壊を止めることができず、海溝近傍まで大きなすべりが及び、大津波が発生したと考えられます。海溝まで大すべりが及んだ原因はこれまで謎であり、今回の研究結果がプレート境界域の巨大地震発生メカニズムを明らかにするための重要な手がかりになると考えられます。

 この研究成果は、2020年3月3日19時(日本時間)に英科学雑誌Nature Communicationsに掲載されました