2017年 プレスリリース

2011年東北地方太平洋沖地震後の海底地殻変動場を解明 [2017/7/20]

 東北大学災害科学国際研究所の木戸元之教授、同大学院理学研究科の日野亮太教授、太田雄策准教授、同大学院生の富田史章、国立研究開発法人海洋研究開発機構の飯沼卓史研究員らの研究グループは、2011年東北地方太平洋沖地震(東北沖地震)の震源となった日本海溝沿いの海域において行った約4年間の海底地殻変動観測により、東北沖地震後に進行している地殻変動の空間変化の特徴を明らかにしました。東北沖地震後の地殻変動の詳細が明らかになったことにより、6年前の東北沖地震発生のメカニズムの理解が一層すすむとともに、東北地方におけるこれからの地震活動を予測する上で重要な手がかりが得られました。
 
  この研究成果は、2017年7月19日(日本時間7月20日)に米国の科学雑誌「Science」のオープンアクセスジャーナルである「Science Advances」電子版に掲載されました。

東北大・大阪大・NEC・国際航業・エイツー 世界初、地震発生から30分以内にスーパーコンピュータを用いて津波浸水被害を推計するシステムが 内閣府「津波浸水被害推定システム」として採用 [2017/5/25]

 国立大学法人東北大学(以下 東北大学)、国立大学法人大阪大学(以下 大阪大学)、日本電気株式会社(以下 NEC )、国際航業株式会社(以下 国際航業)、株式会社エイツー(以下 エイツー)は「津波浸水・被害推計システム」を共同で開発し、本システムが、内閣府が運用する「総合防災情報システム」の一機能として採用されることになりました。
 本システムは地震発生直後に津波シミュレーションを行い、被害推計を行うものです。南海トラフ域で発生する地震を想定し、地震発生直後に総距離6,000Kmにおよぶ太平洋沿岸地域における津波被害の推計を、地震発生から約30分以内で行います。30分以内の短時間で津波浸水被害推計を行うシステムは、世界初となります。
また、システムの耐障害性向上のため、東北大学(仙台)と大阪大学(大阪)の2拠点でNECのスーパーコンピュータ「SX-ACE」を使用した同一システムを構築・運用し、24時間365日の稼働を実現します。
 これは、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST) – 「大規模・高分解能数値シミュレーションの連携とデータ同化による革新的地震・津波減災ビッグデータ解析基盤の創出」における基礎研究、総務省「G空間シティ構築事業」の一プロジェクトである「G空間情報と耐災害性ICTを活用した津波減災力強化―リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業」にて開発されたシステムの有効性が確認され、本格導入されるものです。本システムの運用は2017年度後半を予定しています。
 本システムにより、大規模地震発生時の津波による広域的な被害を迅速に推定することが可能となり、災害時における政府の迅速な対応に貢献します。

 2015年小笠原深発大地震を解剖する―謎が多い深発地震の発生メカニズム解明に向けて― [2017/3/16]

 東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センターの趙大鵬教授、修士学生の藤澤萌人氏(現:石油資源開発株式会社)、豊国源知助教の共同研究グループは、2015年に小笠原諸島西方沖で発生した深発大地震(Mw 7.9,深さ約670 km)の震源域周辺の地下構造を調査し、この大地震は伊豆・小笠原海溝からマントル深部へとほぼ鉛直に沈み込んだ太平洋プレート内部で発生したことを明らかにしました。さらに、スラブの先端部分は今回の震源域近傍で断裂しており、南北で異なる形状を示していることも発見しました。これらの結果は、謎が多い深発地震の発生メカニズムを明らかにするための重要な手がかりになると考えられます。

 この研究成果は、2017年3月15日に英科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。