2016年 プレスリリース

プレート境界からの「水漏れ」が深部低周波地震を抑制? [2016/12/20]

 東京工業大学理学院の中島淳一教授、東北大学理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センターの長谷川昭客員研究者/名誉教授は、西南日本において高精度の地震波形解析を行い、フィリピン海プレート境界での深部低周波地震の発生はプレート境界からの「水漏れ」と関係していることを明らかにしました。プレート境界で発生する巨大地震やゆっくり地震の発生に水が深く関与していることを示しており、プレート境界でのすべり過程を理解するための重要な成果です。
  この研究成果は、2016年12月19日の英国科学誌Nature Communications(オンライン版)に掲載されました。

海底地殻変動データを用いて 東北地方太平洋沖地震に引き続くゆっくりすべりを高分解能で検出 ―巨大地震の発生過程の理解に重要な知見― [2016/11/21]

 国立研究開発法人海洋研究開発機構の飯沼卓史研究員と東北大学大学院理学研究科の日野亮太教授、三浦哲教授、内田直希准教授は、東北大学災害科学国際研究所の木戸元之教授らとともに、2011年東北地方太平洋沖地震の震源域周辺で得られた海陸の地震・地殻変動データを解析し、この地震後、地震の際にすべりを起こした領域の周辺でのみで余効すべりと呼ばれるゆっくりとしたすべりが発生していたことを見出しました。このことは、巨大地震の発生域が、断層面の摩擦状態によって規定されていることを示すとともに、東北地方太平洋沖地震では破壊が及ばなかった三陸沖北部で、その後ひずみがたまっていることを示すものです。
  この研究成果は、2016年11月17日の英国の科学雑誌「Nature Communications」電子版に掲載されました。

大西洋の爆弾低気圧によって励起された地震波―[2016/8/29]

 東京大学の西田究准教授と東北大学の高木涼太助教は、日本の高密度な地震観測網のデータを用いて、大西洋で発生した爆弾低気圧に伴う海洋波浪が励起した地震波を検出しました。嵐によってP波だけでなくS波も励起されることを初めて明らかにするとともに、発生源の位置と強さから励起メカニズムを明らかにしました。このような嵐が励起する地震波は、地震も地震観測点もない海洋下の地球内部構造を推定するための新たなツールになると考えられます。

 この研究成果は、2016年8月25日の米国の科学雑誌「Science」電子版に掲載されました。

2015年ネパール大地震の震源を探る ―2011年東北地方太平洋沖地震と類似―[2016/3/1]

 東北大学の趙大鵬教授と中国地震局地質研究所のWei Wei博士は、2015 年ネパール大地震(M 7.8)の本震が、地震波速度の大きい地域(高速度域)に位置し、またこの高速度域が本震の地震時すべりの大きい場所とよく一致することがわかりました。その高速度域が震源断層面上の強く固着する部分を表し、2015年ネパール大地震の発生が断層面上の構造不均質によってコントロールされていると考えられます。このことは、2011年3月11日に起こった東北地方太平洋沖巨大地震(マグニチュード(以下M)9.0)の発生特徴とよく似ており、またこれらの巨大地震を引き起こす構造不均質が地球物理学的手法で検出できることを意味します。

 この研究成果は2016年2月3日に世界最大の科学出版社であるElsevier社の地球科学専門誌「地球と惑星内部の物理学」に掲載されました。

東北日本沖合で周期的なスロースリップを発見[2016/1/29]

 地震・噴火予知研究観測センターの内田直希助教と日野亮太教授は、JAMSTECやUCバークレーの研究者との共同研究により、北海道から東北,関東の沖合のプレート境界断層の広い範囲で、周期的な「スロースリップ」が発生していることを地震および地殻変動データから発見しました。
 このような周期的なスロースリップが発生しているときには大地震が起こりやすくなる傾向があり、スロースリップを地震・地殻変動観測で検知することによって、大地震発生時期の予測の高度化に貢献できる可能性があります。
 この研究成果は、2016年1月29日の米国の科学雑誌「Science」電子版に掲載されました。