2008年10月の相似地震活動

2008年10月1日~10月31日に発生した相似地震について, 図1左では,その地震が所属するグループの位置(橙色丸), 図1右では,そのグループの地震の積算すべり量(プレート境界でのすべりの時間発展)を示した.今月は26グループで相似地震が新たに抽出された.深さ70km以浅,M4以上の地震活動(星印)のうち最大のものは, 茨城県沖のM5.0の地震(10/25)であった.福島~茨城県沖では、引き続き相似地震が活発であり,すべりレートが高い状態が続いていることを示していると考えられる.北海道南東沖では,先月M7.1の地震があった襟裳岬沖のほか,釧路沖で相似地震活動が見られる. 房総半島下で発生した比較的大きな相似地震(M4.2,最大震度3)はその深さから,フィリピン海プレート上面での活動と考えられる.

図1

(左)2008年10月に発生した相似地震の位置(橙色丸), M4以上で70km以浅の地震の位置(黄色星)及びこの期間には地震を起こさなかった相似地震発生位置(青白抜き丸).解析領域は太線で囲んだ領域で,解析期間は1984年(41.5°N以北および36.5°N以南は1992年)~2008年10月31日.
(右)2008年10月に地震が発生した相似地震グループの積算すべり.方法は,内田・他(2004)と同様
相似地震の抽出には,東北大学,北海道大学,弘前大学,東京大学の観測点の波形を用いた.震源は気象庁による.

(2008.11.10 文責:内田)