2008年7月の相似地震活動

2008年7月1日~7月31日に発生した相似地震について, 図1左では,その地震が所属するグループの位置(橙色丸), 図1右では,そのグループの地震の積算すべり量(プレート境界でのすべりの時間発展)を示した.今月は31グループで相似地震が新たに抽出された.そのうちの14グループは,福島県の沖合いの海溝近くに集中している(NO.726-764, No.835, 838).福島県沖では,2008年7月19日にM6.9のプレート境界地震が発生しており,この活動の活発化は,この地震の余効すべりによるものであると考えられる.また,茨城県沖でも引き続き活発な相似地震活動が見られる.深さ70km以浅、M4以上の地震活動(星印)をみると, 福島県沖のほか、東北地方内陸の岩手・宮城県境付近で多くの地震がみられるが、これは、平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(内陸の浅い地震)の余震である.

図1

(左)2008年7月に発生した相似地震の位置(橙色丸), M4以上で70km以浅の地震の位置(黄色星)及びこの期間には地震を起こさなかった相似地震発生位置(青白抜き丸).解析領域は太線で囲んだ領域で,解析期間は1984年(41.5°N以北および36.5°N以南は1992年)~2008年7月31日.

(右)2008年7月に地震が発生した相似地震グループの積算すべり.方法は,内田・他(2004)と同様

相似地震の抽出には,東北大学,北海道大学,弘前大学,東京大学の観測点の波形を用いた.震源は気象庁による.

(2008.8.11 文責:内田)