2008年5月の相似地震活動

2008年5月1日~5月31日に発生した相似地震について, 図1左では,その地震が所属するグループの位置(橙色丸),図1右では,そのグループの地震の積算すべり量(プレート境界でのすべりの時間発展)を示した.今月は35グループで相似地震が新たに抽出された.そのうちNo. 936-1094の22グループ(地震数では23地震;No.1040は今月2回発生)は,茨城県の沖合いに集中している.深さ70km以浅、M4以上の地震活動(星印)をみると, 茨城県沖では,5/7に発生したM7.0の地震のほか多くの地震が見られる.この付近では2月前後から相似地震が活発であったが,M7.0の地震後も活発な相似地震活動がみられた.これらの活動は,プレート境界でのゆっくりすべりの加速を意味していると考えられる.この相似地震活動の詳細については,第177回地震予知連絡会資料にまとめた.

図1

(左)2008年5月に発生した相似地震の位置(橙色丸), M4以上で70km以浅の地震の位置(黄色星)及びこの期間には地震を起こさなかった相似地震発生位置(青白抜き丸).解析領域は太線で囲んだ領域で,解析期間は1984年(41.5°N以北および36.5°N以南は1992年)~2008年5月31日.
(右)2008年5月に地震が発生した相似地震グループの積算すべり.方法は,内田・他(2004)と同様
相似地震の抽出には,東北大学,北海道大学,弘前大学,東京大学の観測点の波形を用いた.震源は気象庁による.

(2008.6.6 文責:内田)