2005年11月の相似地震活動

茨城県沖の海溝寄りで非定常すべり?

2005年11月1日~11月30日に発生した相似地震について, 図1左では,その地震が所属するグループの位置を橙色丸で示し, 図1右では,そのグループの地震の積算すべり量(プレート境界でのすべりの時間発展を示す)を示した.北海道南東沖の2004年11月29日のM7.1の地震及び2003年十勝沖地震(M8.0)の震源域の周辺で,グループ5と38及びグループ145の相似地震が発生した.また,2005年8月16日に宮城県沖で発生した地震(M7.2)の震源西方でグループ590の相似地震が発生した.この相似地震はこれまでとあまり変わらない発生間隔で発生している. Ueda et al. (2001)では,1978年の宮城県沖地震後に震源域やその深部で大きな余効すべりがあったことを報告しているが,そのようなすべりは今回の地震の西方(深部)では起きていないようにみえる.解析領域の南端付近のグループ772-801の付近(36.5-36.8N, 141.9-142.5E)では, 11月22日から25日にかけて6つのM2.5以上の地震が発生した. このうちM3.8の最大地震とM3.4の地震を除く4つが今回抽出された相似地震となっている.これらのグループの近くで準静的なすべりの加速があった可能性があると考えられる.

図1

(左)2005年11月に発生した相似地震の位置(橙色丸)及びこの期間には.地震を起こさなかった相似地震発生位置(青白抜き丸).解析期間は1984年(41.5°N以北は1992年)~2005年12月3日.
(右)2005年11月に地震が発生した相似地震グループの積算すべり.方法は,内田・他(2004)と同様.
相似地震の抽出には,東北大学,北海道大学,弘前大学,東京大学の観測点の波形を用いた.震源は気象庁による.

(2005.12.15 文責:内田)