2007年能登半島地震震源域周辺のDDトモグラフィの結果(暫定です.0703281800)
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今回の地震の震源域付近について,3/25までの気象庁一元化データを使用して,DDトモグラフィ(Zhang & Thurber, 2003)を行いました.暫定解ですが,結果の図を示します.

図は,断層におよそ直交する北西ー南東断面図です.上からP波速度偏差,Vp/Vsです.震源域の北側や西側に観測点がないため,解けていない領域(図中緑色で変化のない領域)を含みますので御注意ください.(特に震源のない20kmより深い部分での解像度は悪いことになります.)

震源付近および震源域深部でP波が低速度になっている様子がわかります.また,震源域浅部に低速度域があります.このことは,上盤側の浅い部分が低速度となっていることを示しているのかもしれません(現状では,上盤側〜低速度の傾向は2003年宮城県北部地震や2004年新潟県中越地震のように大規模ではないようにみえます.今後,検討の必要があります).一方,Vp/Vsでは,震源域の浅い側と深い側の低速度に対応する領域でVp/Vsが大きく,余震の分布する付近(深さ)ではVp/Vsが小さい傾向にあります.なお,これらの傾向は下2つに示した,3/24までの気象庁一元化データを使用した結果([without aftershocks」)でも同じように見ることができますので,震源域付近や深部の低速度,高Vp/Vsの領域は今回の地震発生前より分布していたと考えられます.

本研究では,気象庁一元化震源データを使用しました.東京大学,京都大学,名古屋大学,気象庁,防災科学技術研究所の観測点のデータを使用しています.

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